2024年12月の健康保険証廃止により、これまで雇用関係証明の定番として使われてきた健康保険証が使用不可となりました。
マイナ保険証の資格情報PDFは保険加入の証明にはなりますが、所属会社名が記載されないため雇用関係の証明にはなりません。
この記事では、マイナ保険証移行後の雇用関係証明方法として、最も簡単に手に入る「被保険者記録照会回答票」の取得手順と、その他の証明書類の一覧を解説します。
マイナ保険証を使った、健康保険加入証明の方法については、以下の記事を参照してください。
雇用関係証明が必要な理由:直接的かつ恒常的な雇用関係とは?
主任技術者・監理技術者は、所属する会社と「直接的かつ恒常的な雇用関係」にある者でなければなりません。
この要件を証明するために、発注機関への提出書類として雇用関係証明が求められます。
なお、派遣社員・出向社員、または工事期間のみの短期在籍は『直接的かつ恒常的な雇用関係』とみなされないため、書類を揃えても要件を満たせません。
「直接的かつ恒常的な雇用関係」の詳しい意味、主任技術者の配置要件や役割、監理技術者との違いについては以下の記事を参照してください。
まずは最も簡単な方法:被保険者記録照会回答票

(記事内の全ての画像は拡大できます)
雇用証明に使える書類は複数ありますが、今すぐ用意できるものとなると選択肢は限られます。
最も手間がかからないのは、源泉徴収票または被保険者記録照会回答票です。
源泉徴収票は会社から年1回交付される書類で、手元にあればすぐ使えます。
ただし、以下のいずれかに当てはまる場合は被保険者記録照会回答票が簡単です。
- 源泉徴収票が手元にない、または、すぐに用意できないorすぐに出てこない
- 公示日との時間差が問題になる
- 会社への依頼なしに、自分だけで完結させたい
被保険者記録照会回答票はマイナポータルからいつでも即日取得できます。
所属会社への依頼は不要で、取得から提出まで最短で当日中に完結します。
以下に取得手順を解説します。
被保険者記録照会回答票の取得方法
取得の前に、マイナポータルとねんきんネットの連携(紐づけ)を済ませておく必要があります。
連携はメールアドレスの承認のみで完了するため、数分で設定できます。
未設定の場合はマイナポータルアプリ(スマートフォン)か、マイナポータル公式サイトで連携設定を行ってください。
マイナポータル画面で「ねんきんネットとの連携」を押し、メールアドレスの登録、認証を済ませると完了です。
スマートフォンから取得する方法
1,マイナポータルにログイン
スマートフォンでマイナポータルアプリを起動し「登録・ログイン」を押します。
2,パスワードの入力、マイナンバーカードの読み取り

カード用の利用者証明用電子証明書パスワードを入力し「ログインする」を押します。
マイナンバーカードを読み取ります。
3,ねんきんネットを開く
マイナポータルが開くので、下へスクロールして「年金」を押します。
年金メニューが開くので、「年金記録を確認」を押します。
4,通知書の確認ページを開く
ねんきんネットが開くので、左上のメニューを展開し「通知書を確認」を押します。
5,被保険者記録照会回答票のダウンロード
通知書の確認をするページが開くので、下にスクロールします。
電子版「被保険者記録照会回答票」という項目があるため、「ダウンロード」を押します。
ねんきんネットには「ねんきん定期便」「年金の支払いに関する通知書」など、今回は関係のないものもあります。
電子版「被保険者記録照会回答票」という名称を確認してダウンロードしてください。

お疲れさまでした。
これで、あなたの雇用情報が記載された被保険者記録照会回答票のPDFを入手できます。
パソコンから取得する方法
1,日本年金機構|ねんきんネットを開く

【パソコンでの操作】
インターネットで「ねんきんネット」と検索。
表示された、日本年金機構ねんきんネットにアクセスします。
※ 「日本年金機構のトップページ」ではなく、「日本年金機構のねんきんネットページ」であることに注意してください。
ねんきんネット|日本年金機構
参考URL:https://www.nenkin.go.jp/denshibenri_kojin/n_net/index.html
2,ねんきんネットにログイン

ねんきんネットの「ログイン」ボタンを押します。
3,マイナポータル画面へ行く

ねんきんネットログインページが出たら「マイナポータルからログイン」を押します。
※ IDとパスワードがわかるならそれを用いたログインでも良いですが、マイナンバーカードだけでできる「マイナポータルからログイン」が簡単でおすすめです。
4,マイナポータルにログイン

マイナポータルの画面がでるので「ログイン」を押します。
5,二次元コードの表示

マイナポータルログイン画面が出るので、「スマートフォンで二次元コードを読み取ってログイン」にチェックを入れます。
6,スマートフォンでの二次元コード(QRコード読み取り)
【ここからスマートフォンでの操作】
スマートフォンでマイナポータルを起動し、下部の「読取り」を押します。

スマートフォンにQRコード読取り画面が出るので、PC画面のQRコードを読み取ります。

スマートフォンにログイン画面が出るので、カード用の利用者証明用電子証明書パスワードを入力し「ログインする」を押します。
マイナンバーカードを読み取ります。
7,ねんきんネットを開く

【パソコンでの操作】
スマートフォンでマイナンバーカードの読み取りに成功すると、PCの画面がマイナポータルのトップに変わるので、メニューの中の「年金」を押します。

年金メニューが開くので、「年金記録を確認」を押します。
8,被保険者記録照会回答票のダウンロード

ねんきんネット画面が出るので、上部の「通知書を確認する」を押します。
通知書確認ページが出るので、電子版「被保険者記録照会回答票」の項目までスクロールし「ダウンロード」を押します。
ねんきんネットには「ねんきん定期便」「年金の支払いに関する通知書」など、今回は関係のないものもあります。
電子版「被保険者記録照会回答票」という名称を確認してダウンロードしてください。
9,完了

お疲れさまでした。
これで、あなたの雇用情報が記載された被保険者記録照会回答票のPDFを入手できます。
被保険者記録照会回答票が雇用証明になる理由
雇用証明とは、「証明する人物が、確かに現在その会社に在籍しています。」と証明することです。
よって、雇用関係の証明に必要な条件は、「公示日時点の雇用者(所属会社)と被雇用者(個人)が記載された、改ざんできない公的書類」となります。
被保険者記録照会回答票は「日本年金機構(厚生労働省)が発行した、【個人名】【所属会社】【所属会社との関係】を示す書類」として、この条件を満たしています。
この書類が雇用証明として有効であることは、国土交通省関東地方整備局の業務説明書(補償関係コンサルタント業務)に明示されています。

10~11ページ
国土交通省:拡大型プロポーザル方式の実施について
参考URL
https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000940822.pdf (pdfが開きます)
雇用証明になる書類の原則
雇用証明に使用できる書類とは、前項目の通り「公示日時点の雇用者(所属会社)と被雇用者(個人)が記載された、改ざんできない公的書類」です。
この条件を満たすためには、以下の3点が必要です。
- 書類に会社名と個人名が、同時に両方記載されている
- 会社名と個人名が別々の書面に記載されていると、本当に在籍しているのか判別できない。
- 最新の公示日時点での在籍が確認できる
- 公示日が無かったり古いと、今現在在籍しているか、退職しているか判別できない。
- 国・自治体・公的機関が発行または関与した書類である
- 民間団体が発行しているものは、住民票などの公的身分証明と紐づいていないため信頼性が弱い。
- 自社が発行する社員証、雇用証明などは都合の良いことがいくらでも書けてしまう。
逆に言えば、この3点を満たさない書類は雇用証明として認められません。
社員証が認められない理由はここにあり、社員証は会社が独自に発行するものであり、第三者による改ざん防止の担保がないためです。
また、健康保険証の資格情報(マイナ保険証のオンライン資格確認)は保険加入の証明にはなりますが、所属会社の記載がないため雇用証明としては使用できません。
この原則を踏まえた上で、各発注機関が指定する書類がある場合はそちらを優先してください。
従来の保険証・マイナ保険証の資格情報は雇用証明にできない
健康保険証はかつて所属会社名と個人名が記載された公的書類として、雇用証明の定番として広く使用されていました。
しかし、2024年12月に健康保険証が廃止されマイナ保険証に移行したことで、この方法は使用不可となりました。
マイナ保険証の資格情報は、保険加入の事実は確認できますが、所属会社名が記載されません。
前項目の「雇用証明として成立する資料の条件」のうち、「書類に会社名と個人名が同時に両方記載されている」という条件を満たさないため、雇用証明として使用できません。
マイナ保険証(マイナ保険証の資格情報PDF)は、建設業界の施工体制において雇用関係の証明ではなく、「健康保険の加入証明」として使用するものになりました。
マイナンバーカードを使った健康保険の加入証明の取得方法は、下記のページを参照してください。
雇用証明になる書類の候補・種類(できるもの・できないものリスト)
雇用証明の条件を満たしているもの、満たしていないもの、書類のリストは以下の通りです。
健康保険証が使用できた時代の雇用証明方法については以下の記事を参照してください。
- 被保険者記録照会回答票
- 厚生年金の加入記録。個人名・所属会社・在籍期間が記載。
- 発行者:日本年金機構(厚生労働省)
- 取得方法:マイナポータル経由でいつでも即日PDFが取得可能。
- 注意事項:マイナポータルとねんきんネット連携が必要。年金未加入者は取得不可。
- 標準報酬月額決定通知書
- 事業主が届け出た、各従業員の標準報酬月額の決定通知。
- 発行者:全国健康保険協会または健康保険組合(健康保険法)
- 取得方法:毎年5〜6月に会社宛に郵送される。経営者や事務、総務が保管していることが多い。
- 注意事項:他従業員の報酬も記載されるため、一般社員が閲覧するにはハードルが高い。経営者・事務担当者への依頼が必要。黒塗りに手間が掛かるため、渋られる可能性がある。
- 源泉徴収票
- 給与所得の源泉徴収を証明する書類。
- 発行者:会社(所得税法により会社が発行義務)
- 取得方法:多くは年に1回、会社から従業員に交付される。
- 注意事項:発行は年1回のため、公示日との時間差が生じる場合がある。
- 住民税特別徴収税額の通知書・変更通知書
- 給与から住民税を特別徴収していることを示す書類。
- 発行者:市区町村(地方税法)
- 取得方法:毎年5〜6月に市区町村から会社宛に送付。経営者や事務、総務が保管していることが多い。
- 注意事項:他従業員の報酬も記載されるため、一般社員が閲覧するにはハードルが高い。経営者・事務担当者への依頼が必要。黒塗りに手間が掛かるため、渋られる可能性がある。
- 技術職員名簿(経営事項審査)
- 建設業法に基づく経審申請書の別表。個人名・所属会社・資格が記載。
- 発行者:国土交通省または都道府県(建設業法)
- 取得方法:経審申請時に作成。会社が保有。
- 注意事項:経営事項審査を受けていない会社は所有していない。更新は年1回のため最新状況を反映していない場合がある。
- 雇用保険事業者別被保険者台帳照会
- 雇用保険の被保険者記録。個人名・所属会社が記載。
- 発行者:公共職業安定所(雇用保険法)
- 取得方法:会社が公共職業安定所(ハローワーク)に申請して取得。
- 注意事項:会社からハローワークへ申請して作る、個人では取得不可。経営者・事務担当者への依頼が必要。手間が掛かる上に申請から発効まで時間が掛かる。
- 監理技術者資格者証
- 監理技術者に携帯が義務付けられる資格者証。氏名・所属会社・保有資格が記載される。
- 発行者:建設業技術者センター(国土交通省管轄)
- 取得方法:1級国家資格(施工管理技士等)、国土交通大臣認定資格の取得後、建設業技術者センターへ申請。
- 注意事項:所属会社が記載されているが、転職直後は反映されず、申請後一定期間後の更新が必要。
- JCISによる所属情報
- 建設業法に基づく経営事項審査の申請データと連動した技術者所属情報。
- 発行者:一般財団法人建設業情報管理センター(JACIC)
- 取得方法:JACICのJCISシステムから照会。会社単位での登録のため、個人では取得不可。
- 注意事項:経営事項審査を受けていない会社の技術者は登録されていないため使用不可。年1回更新のため、転職直後や更新前は情報が反映されていない場合あり。
- 合理的な理由のある、会社の発行する雇用関係証明書
- 所属会社が独自に作成、発行する書面。
- 発行者:所属会社
- 取得方法:経営者、事務、総務担当者による作成。
- 注意事項:「入社直後であり公的書面の更新が追い付いていないため、暫定的な仮発行」のような「代替手段が今は使えないため、一時的に発行した」という合理的な理由がない限り認められない可能性が高い。年金を払ってないから、他の方法は面倒だから、などの理由はまず通らない。
- 旧来の保険証
- 記載された日付が古いため、今現在の雇用関係の証明ができない。
- マイナ保険証の資格情報PDF
- 所属会社名が記載されていないため、単体で雇用関係の証明ができない。
- マイナンバーカード
- 所属会社名が記載されていないため、単体で雇用関係の証明ができない。
- 運転免許証、パスポート
- 所属会社名が記載されていないため、単体で雇用関係の証明ができない。
- 社員証
- 発行会社側で都合よく作れてしまうため、信頼性が弱い。
- 名刺
- 個人レベルで自由に作成できてしまうため、信頼性が弱い。
- 会社の発行する雇用関係証明書(合理的な理由のないもの)
- 発行会社側で都合よく作れてしまうため、信頼性が弱い。
雇用証明になる書類の根拠
上記、雇用証明になる書類は、以下の公的資料で確認用書類として位置付けられています。
長崎県|建設工事に係る配置予定技術者の雇用関係の確認について
参考URL
https://www.pref.nagasaki.jp/uploads/2025/11/1762935303.pdf (pdfが開きます)
東京都都市整備局|工事の受注に係る書類|主任技術者の直接的かつ恒常的雇用関係
参考URL
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/application/itakuukeoi/1
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/toshiseibi/pdf_sinsei_itakuukeoi_pdf_P-155 (pdfが開きます)
提出前の黒塗り処理|書類ごとの参考例
雇用証明として書類を提出する際の黒塗り例を以下に示します。
黒塗りの基本的な考え方は「会社名・氏名・在籍を示す情報の3点以外は全て黒塗り対象」です。
報酬額・税額・他の従業員の情報など、雇用証明の目的に関係しない情報はマスキングを求められます。
被保険者記録照会回答票
源泉徴収票
監理技術者資格者証
標準報酬月額決定通知書
住民税特別徴収税額の通知書・変更通知書
年金未加入、未払いの場合は雇用関係の証明が困難
この記事で紹介した証明書類の多くは、厚生年金または国民年金への加入を前提としています。
年金未加入・未払いの状態では、被保険者記録照会回答票・標準報酬月額決定通知書・雇用保険被保険者台帳照会など、主要な証明書類のほとんどが取得できません。
源泉徴収票・住民税特別徴収税額通知書は年金加入と直接は関係しませんが、これらも会社経由での入手が必要なため、個人事業主や一人親方で給与支払いの実態がない場合は取得できません。
日本国内で雇用されている者は、厚生年金または国民年金への加入が義務付けられています。
就労ビザ・技能実習生も同様です。
年金未加入のまま主任技術者として届け出る手段は現実的に存在しません。
仮に届け出ができたとしても、未加入の事実が発覚した場合のリスクは高く、元請業者への影響も生じます。
元請業者の方は、下請負業者が年金に加入、支払いをしているか、詳しく確認することを推奨します。
未加入の場合は、市区町村窓口または年金事務所で加入手続きを行ってください。
まとめ:この記事の概要
雇用関係証明に使用できる書類の条件は「公示日時点の雇用者(所属会社)と被雇用者(個人)が記載された、改ざんできない公的書類」です。
マイナ保険証移行後の現時点で最も取得しやすい書類は、マイナポータルから即日PDF取得できる被保険者記録照会回答票です。
発注機関が確認書類を個別に指定している場合はそちらを優先し、指定がない場合は、この記事のリストの中から用意できる書類を取得した上で、発注機関に使用可否を確認してください。
なお、年金未加入・入社直後など、いずれの書類も取得できないケースについては別途、発注者にご確認ください。
- 雇用証明になる書類リストまとめ
- 被保険者記録照会回答票
- 標準報酬月額決定通知書
- 源泉徴収票
- 住民税特別徴収税額の通知書・変更通知書
- 技術職員名簿(経営事項審査)
- 雇用保険事業者別被保険者台帳照会
- 監理技術者資格者証
- JCISによる所属情報
- 合理的な理由のある、会社の発行する雇用関係証明書
- 雇用証明にならない書類リストまとめ
- 旧来の保険証
- マイナ保険証の資格情報PDF
- マイナンバーカード
- 運転免許証・パスポート
- 社員証
- 名刺
- 会社の発行する雇用関係証明書(合理的な理由のないもの)































