木製の間仕切り壁


内装工事の一環で『簡易的に部屋を分割する』や『部屋の中に小部屋を設置する』などを行うために、木製の間仕切りを作ることがあります。
アルミパーティションや軽量鉄骨を使うより加工性が良く、工期が短く、さらに材料もすぐ手に入りやすいため、小規模の案件でよく使われる方法だと思います。
住宅のリフォーム工事では良く見るのではないでしょうか?
しかし、この木製間仕切りは、ちょっとした悩みがあります。
ビスの斜め打ちが難しい
木製間仕切りを作る際は、床面に通したいわゆる『ランナー』にあたる木材に、垂直に間柱材を固定する必要があります。
そして、この間柱材を固定する方法としてしばしば行われるのが『ビスの斜め打ち』です。

ベテランの大工さんは難なく行うのですが、片手で2メートルを超える間柱を押さえながら、もう片方の手でビスを斜め打ちするのはかなり難しく
- 間柱を倒す
- ビットからビスが外れて飛ぶ
- 間柱がずれる
- 木口が割れる
など、上手くいかないことが多く起きます。

軽量鉄骨のように、先にスタッドを立ててから、後でビス固定を行えれば楽なのですが、木材は直方体のため、そのような事ができません。
解決策:さいころブロックを作る
ビスの斜め打ちを回避するための解決策として、さいころ状の小さなブロックを作り固定し、それに間柱材をビス止めする方法があります。
この方法なら、一人しかいない現場でも簡単に、垂直に間柱を立てていくことができます。

『片方の手で押さえて』『もう片方の手でビス止め』という動作はどうしても不安定ですが、さいころブロックを先に固定しておけば、後はそれに間柱を合わせてビス止めするだけなので簡単です。


さいころブロックが小さすぎると割れる原因となるので、錐で下穴をあけておくと安定します。

あらかじめ端材でたくさん作っておけば、使いやすくて便利です。
さいころブロックの大きさは、間柱材の長手幅に合わせるくらいが良いと思います。
例:30×40なら40mm、36×45なら45mm など

天井面はどうなるか

天井面にもさいころブロックを作れば安定度が増すかもしれませんが、床面が既に固定されている場合は手を放しても間柱が倒れる事はありません。
後は脚立などの足場に上り、水平器で垂直を測りながら天井面に斜め打ちをするのが簡単だと、個人的には思います。


木下地が完成したら、仕上げを行うだけです。
横向きでも利用できる
さいころブロックは、流れが横向きの木下地で、左右に取り付けもできます。

横向きの間柱(胴縁)は、片手で押さえていないと落ちてしまいますが、先にさいころブロックを取り付けておけば、それに乗せる形で胴縁を置けるため、簡単になります。

下穴があると安心
さいころブロックは小さいため、いきなりビスを入れると割れることがあります。
下穴を開けておくと割れにくくなるため、余裕があるなら開けておきましょう。
下穴があれば、電動ドライバーによりさいころブロックが回転して、手を痛める危険も減ります。

下の写真のように、左右の幅が狭い場所はビスの斜め打ちがやりにくいため、そのような箇所でも有用な方法です。


先にさいころブロックを作っておく必要があるため、多少手間の掛かる方法かもしれませんが『一人で長い間柱を垂直に立てる』手間を省くことができるため、状況によってはかなりのリソースの削減が見込める方法です。
全ての現場に適用できるわけではありませんが『このような方法がある』というのを覚えておけば、有利に立ち回れると思います。