「アスベスト工事で看板が必要らしいが、何を用意すればいいかわからない。」
「法的な要件を満たさないと、指導を受けてしまう。」
「看板を用意したいが、案件が少ないので購入するほどではない。」
「同時並行の解体作業があり、看板が不足した。新規手配でも納期が掛かる。」
このような場合に対応できる、無料のExcelテンプレートを記事内で配布しています。
アスベスト除去作業では、大気汚染防止法および石綿障害予防規則により、複数の掲示物の設置が義務付けられています。
この記事では、どの看板が必要か、どこに貼ればよいかを、法的な条文を根拠として解説します。
必要な掲示物リスト
建造物等の『解体等工事』(解体、改造、補修、改修など)を行う際は、大気汚染防止法および石綿障害予防規則により、以下の掲示物を労働者等が見やすい場所に掲示しなければいけません。
掲示については、作業の開始から終了までの工事期間を通して行います。
- 事前調査の結果
- 事前調査結果の掲示は、石綿含有の有無に関わらず全ての解体工事等で掲示の義務あり。
- 掲示場所:周辺住民および作業者の見やすい箇所
- 大気汚染防止法:第18条の15第5項、第16条の9、10
- 石綿障害予防規則:第3条第8項
- 作業内容等
- 石綿含有建材の除去作業では、作業方法についての掲示が必要。
- 必要事項が網羅されていれば、「事前調査の結果」などと兼ねることもできる。
- 掲示場所:周辺住民および作業者の見やすい箇所
- 大気汚染防止法:第18条の14、施行規則第16条の4 第二号
- 石綿障害予防規則:平成17年8月2日基安発第0802001号(通達)
- 作業主任者
- 掲示場所:作業場の見やすい箇所
- 作業主任者が誰であるかと、その職務の掲示。
- 労働安全衛生規則:第18条
- 飲食喫煙禁止
- 掲示場所:作業場の見やすい箇所
- 石綿障害予防規則:第33条
- 石綿の有害性等
- 掲示場所:労働者が見やすい箇所
- 石綿の人体に及ぼす影響についての掲示。
- 石綿障害予防規則:第34条
- 立入禁止
- 掲示場所:作業場の見やすい箇所
- 石綿障害予防規則:第7条、第15条
- その他、自治体や発注者から求められるもの
- 「解体等工事に係る事前調査説明書面」などの掲示が必要な場合もあり。
- 公共工事など、書類や工事写真の検査がある際は、発注者に要確認。

『徹底マニュアル』R7.3 118ページ
(画像は拡大できます
掲示物のサイズは基本的に全てA3
アスベスト作業で必要な掲示物類のサイズは、基本的にA3判以上(29.7cm × 43cm)とされています。
掲示物の材質について規定はないため、A3用紙に印刷しても使うことができます。

『徹底マニュアル』R7.3 119ページ
(画像は拡大できます
注意事項:産業廃棄物の掲示物はA3より大きい
アスベスト除去工程に関わる掲示物のサイズはA3となっていますが、
産廃処理の工程で必要な看板は60cm × 60cm以上となっているため、混同しないように気を付けてください。

石綿含有廃棄物等処理マニュアル(第3版)
令和3年3月版 34ページ
アスベスト廃棄物の処理に関する詳しい解説は、下記を参照してください。
「特定工事」という用語の意味
アスベスト作業には「特定工事」という用語が出てくることがありますが、これは大気汚染防止法の中でいう「特定粉じん等排出作業」の事を言います。
用語の意味をはっきりさせることで、「なにをしなければならないか」「なにをしなくてもよいか」が明らかになるため、覚えておくと便利です。
- 特定工事
- 「特定粉じん排出等作業」を伴う建設工事全体のこと。
- 特定粉じん排出等作業
- 「特定建築材料」の解体等をする作業のこと。
- 解体等:解体、改造、補修、改修などをすること。
- 特定建築材料
- 石綿含有吹付け材、石綿含有保温材等、石綿含有成形板等、石綿含有仕上塗材
(石綿含有仕上塗材は令和3年の法改正で追加) - 平易に言うと、石綿含有建材全般のこと。
- 石綿含有吹付け材、石綿含有保温材等、石綿含有成形板等、石綿含有仕上塗材

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また、右クリックから保存できます。
11 この法律において「特定粉じん排出等作業」とは、吹付け石綿その他の特定粉じんを発生し、又は飛散させる原因となる建築材料で政令で定めるもの(以下「特定建築材料」という。)が使用されている建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)を解体し、改造し、又は補修する作業のうち、その作業の場所から排出され、又は飛散する特定粉じんが大気の汚染の原因となるもので政令で定めるものをいう。
12 この法律において「特定工事」とは、特定粉じん排出等作業を伴う建設工事をいう。
各掲示物の内容と掲示場所
事前調査の結果と作業内容等

大気汚染防止法と石綿障害予防規則にて、「事前調査の結果」と「作業内容等」を示す表示物の掲示が定められています。
- 事前調査の結果
- 解体、改造、補修、改修など、新築以外のほぼ全ての工事で掲示が必須
- 作業内容等
- 除去作業がある場合に公衆の見やすい場所に掲示が必要
上記の2つは、内容が法令に則っていれば、1枚の掲示物で2つ分を兼ねても良いとしています。
- 事前調査の結果
- 事前調査の結果(調査結果の内容、調査した場所、建材とその結果)
- 工事の元請業者、自主施工者の名称、住所、代表者名
- 事前調査を終了した年月日
- 工事が特定工事に該当する場合、対象となる特定建築材料の種類
- 事前調査を行った部分、試料採取した場合はその箇所の概要
- 含有していないと判断した箇所とその根拠
- 作業内容等
- 特定工事の発注者、元請業者、自主施工者の名称、住所、代表者名
- 届出対象特定工事の場合は届出年月日及び届出先
- 特定粉じん排出等作業の実施期間及び方法
- 特定工事の元請業者、自主施工者の現場責任者の氏名及び連絡場所
事前調査の結果と作業内容等の看板ダウンロードは下記から行えます。
解体等工事の元請業者又は自主施工者は、第一項又は前項の規定による調査に係る解体等工事を施工するときは、環境省令で定めるところにより、前二項に規定する記録の写しを当該解体等工事の現場に備え置き、かつ、当該調査の結果その他環境省令で定める事項を、当該解体等工事の現場において公衆に見やすいように掲示しなければならない。
特定工事の元請業者又は自主施工者は、当該特定工事における特定粉じん排出等作業を行う場合は、公衆の見やすい場所に次に掲げる要件を備えた掲示板を設けること。
(1)特定工事の発注者及び元請業者又は自主施工者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
(2)当該特定工事が届出対象特定工事に該当するときは、法第十八条の十七第一項又は第二項の届出年月日及び届出先
(3)第十条の四第二項第三号並びに前号ニ及びヘに掲げる事項
飲食喫煙禁止|作業場内への掲示

アスベストを取り扱う作業場では喫煙、飲食が禁止です。
それを示す掲示を作業場の見やすい箇所に行います。
飲食喫煙禁止看板のダウンロードは下記から行えます。
事業者は、石綿等を取り扱い、又は試験研究のため製造する作業場で労働者が喫煙し、又は飲食することを禁止し、かつ、その旨を当該作業場の見やすい箇所に表示しなければならない。
石綿の有害性等|作業員向け・作業場内への掲示

石綿の有害性等の告知として、以下の事項を労働者の見やすい箇所(作業部屋の入り口など)に掲示します。
- アスベストを取り扱う作業場であること
- 人体に及ぼす作用
- 取り扱い上の注意事項
- 使用すべき保護具
石綿取扱の注意事項、有害性等看板のダウンロードは下記から行えます。
事業者は、石綿等を取り扱い、又は試験研究のため製造する作業場には、次の事項を、作業に従事する労働者が見やすい箇所に掲示しなければならない。
一 石綿等を取り扱い、又は試験研究のため製造する作業場である旨
二 石綿等の人体に及ぼす作用
三 石綿等の取扱い上の注意事項
四 使用すべき保護具
立入禁止|作業場前の見やすい箇所へ掲示

関係者以外の立入禁止措置として、見やすい箇所(作業場の入り口前など)に掲示します。
アスベスト作業の立入禁止看板のダウンロードは下記から行えます。
事業者は、次に掲げる作業に労働者を従事させるときは、当該作業場所に当該作業に従事する労働者以外の者(第十四条に規定する措置が講じられた者を除く。)が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
事業者は、石綿等を取り扱い(試験研究のため使用する場合を含む。以下同じ。)、又は試験研究のため製造する作業場には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
作業主任者|氏名と職務の掲示

労働安全衛生規則の規定として、作業主任者の氏名とその役割を示した掲示を行います。
石綿作業主任者看板のダウンロードは下記から行えます。
事業者は、作業主任者を選任したときは、当該作業主任者の氏名及びその者に行なわせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。
その他:自治体や発注者から求められるもの

法令で規定されているもののほかに、公共工事などでは発注者(自治体や官公庁など)から掲示を求められるものがあるため、都度確認をしてください。
「解体工事に係る事前調査説明書面」などは例として多いのではないでしょうか?
解体工事に係る事前調査説明書面のダウンロードは下記から行えます。
体裁ダウンロード
A3で使用できるエクセルファイル/PDFファイルの両テンプレートを下記のリンクで配布しています。
- 乗り込みが近いので、看板を手配、発注している時間がない。
- アスベスト工事は受注件数が少ないため、本格的な掲示物を揃えるほどではない。
- 同時並行している工事が多く、掲示物が足りない。
このような場合に有効です。
掲示物の材質に関しては規定が無いため、A3用紙に印刷後、ラミネートやクリアファイルに入れれば使用できます。
A3対応プリンターが無い場合は、コンビニのマルチコピー機で印刷する方法もあります。
アスベストに関連する無料素材は下記からダウンロードできます。
公的な様式の一例として、下記サイトでも看板の体裁がダウンロードできます。
厚生労働省 青森労働局
まとめ:この記事の概要
アスベスト除去作業で必要な掲示物の種類は以下のとおりです。
- 事前調査の結果・作業内容等
- 周辺住民と作業者の見やすい場所。
- 全ての解体等工事(解体、改造、補修、改修など)で必須。
- 調査した結果、アスベストが無いことが判明した場合も必ず掲示。
- 飲食喫煙禁止
- 作業場内の見やすい箇所
- 石綿の有害性等
- 作業場内の労働者が見やすい箇所
- 立入禁止
- 作業場前の見やすい箇所
- 作業主任者の氏名と職務
- 作業場の見やすい箇所
飲食喫煙禁止・有害性等・立入禁止・作業主任者の4種は、法令上「作業場の見やすい箇所」への掲示を行います。
周辺住民への掲示義務はないため、作業区域内への掲示が実務上の標準です。
公共工事では発注者から追加の掲示を求められる場合があるため、事前に確認してください。
大きさはA3以上とされており、材質についての規定はないため、A3用紙に印刷すれば使えます。





