この記事は解体・改修工事における石綿含有建材の撤去工程の計画書として必要な『石綿除去工事作業計画書』の作成方法の大まかな考え方と、記載内容を説明します。
石綿除去工事作業計画書

先立って行われる石綿事前調査の結果により、解体工事個所にアスベストが含まれる場合は、作業の方法や作業工程などを盛り込んだ石綿除去工事の作業計画を作成しなければいけません。
作業計画の作成は、大気汚染防止法施行規則・石綿障害予防規則にて定められているため、当該工事を行う場合は、作業に取り掛かる前に用意しておきましょう。
本当に逐一書かなければいけないのか
法令に則るなら、全ての石綿除去工事で計画書は必要です。
公共工事やレベル1が絡む案件ならば、労働基準監督署や担当監督員の検査を受ける場合もあるため作成は必須です。
少額、少量の作業の場合では、現実に作っていない業者も相応にあるかもしれません。
自治体からの突発の立ち入り検査などは存在し、筆者も実際に見たことがあるため、簡易な内容で良いのですぐに用意できる状態にしておけば、自身を守るために役立ちます。
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テンプレートを用いた書き方の解説と、テンプレートダウンロードは以下を参照してください。
作業計画書の項目解説
作成方法は原則「徹底マニュアル」に準ずる

基本的な作成方法や項目解説は、環境省が配布している「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」(以下、徹底マニュアル)という長い名前のpdfで確認できます。
「徹底マニュアル」はアスベスト業務のほぼ全てを網羅しているマニュアルです。
非常に完成度が高く、この記事が必要ないくらい完璧な資料ですので、アスベストに関わる方でまだ触れたことのない方は、ぜひ読んでおいてください。
作業計画書に書かなければいけない事項

「石綿除去工事作業計画書」に書くべき事項は『大気汚染防止法』と『石綿障害予防規則』により規定されています。
以下で、その事項を解説します。
規定されている詳細な項目
『工事の概要』や『工程表』など、ある程度記載する内容が想像できる項目は簡単かもしれませんが、『石綿飛散防止措置(具体的手順と作業方法)』などと言われても「実際にどう書くの?」と思われるかもしれません。
そのため、「徹底マニュアル」には作業計画書として盛り込むべき詳細な項目がさらに規定されています。
工事ごとの条件を反映した計画書作り
石綿含有建材の除去は、対象建材の『レベル』や種類によって対応方法が変わります。
その他に、各現場の特性(工事規模、時期、平行して行われる工程、利用者・職員の状況など)も加わるため「似た工事」はあっても「同じ工事」はありません。
計画書作成の際は、それらの条件も考慮した手順書を作成してください。
参考:各建材とレベルに対応した作業の概要・手順
以下、主に行われる作業への対応方法の抜粋を示します。
吹付材・保温材などの対応・除去(吹付材:レベル1 保温材:レベル2)


吹付材・保温材などの対応・囲い込み、封じ込め(吹付材:レベル1 保温材:レベル2)


石綿含有成型板等の対応(レベル3)


石綿含有仕上塗材の対応(レベル3)


補足:関連法規
(作業基準)
第十六条の四 石綿に係る法第十八条の十四の作業基準は、次のとおりとする。
一 特定工事の元請業者又は自主施工者は、当該特定工事における特定粉じん排出等作業の開始前に、次に掲げる事項を記載した当該特定粉じん排出等作業の計画を作成し、当該計画に基づき当該特定粉じん排出等作業を行うこと。
イ 特定工事の発注者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
ロ 特定工事の場所
ハ 特定粉じん排出等作業の種類
ニ 特定粉じん排出等作業の実施の期間
ホ 特定粉じん排出等作業の対象となる建築物等の部分における特定建築材料の種類並びにその使用箇所及び使用面積
ヘ 特定粉じん排出等作業の方法
ト 第十条の四第二項各号に掲げる事項
(作業計画)
第四条 事業者は、石綿等が使用されている解体等対象建築物等(前条第五項ただし書の規定により石綿等が使用されているものとみなされるものを含む。)の解体等の作業(以下「石綿使用建築物等解体等作業」という。)を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、作業計画を定め、かつ、当該作業計画により石綿使用建築物等解体等作業を行わなければならない。
2 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。
一 石綿使用建築物等解体等作業の方法及び順序
二 石綿等の粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法
三 石綿使用建築物等解体等作業を行う労働者への石綿等の粉じんのばく露を防止する方法
3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項各号の事項について関係労働者に周知させなければならない。




