フローリングブロック上の重ね張り
学校や保育園などの工事を行っていると、「古くなったフローリングブロックを改修したい」という相談を受けることがあります。
しかし、フローリングブロックは頻繁に扱われる材料ではないため、コスト面や納期面の課題が多く、またフローリングブロック自体の特性から、同じ材料での張替えに多くの期間とコストが掛かり、改修が容易ではありません。
- 材料自体が高価
- 受注生産で納期が掛かりやすい
- 既存フフローリングブロックの解体が大がかりになる可能性がある
- 厚みによっては廃盤の可能性がある
詳しいフローリングブロックの改修方法の検討、見積項目や注意点は以下の記事を参照
前回記事:フローリングブロックの張替え方法
代替として提案できる選択肢
計画において課題となりやすいフローリングブロックの改修方法について、同材での張り替え以外に提案できる代替の選択しとして『長尺塩ビシートの重ね張り』があります。
長尺塩ビシートとは、公共施設の廊下などでよく見る、丈夫なビニル製の床材です。

単に『長尺(ちょうじゃく)』や『ビニル床シート』などと呼ばれたりしますが、より丁寧に言うと『複層ビニル床シート FS』や、より弾性のあるものは『発砲複層ビニル床シート HS』と言います。
重ね張りとは?
ここで行う『重ね張り』とは、改修でオーソドックスな「既存材を剥がして新材を張る」ではなく「既存材を剥がさず上から張ってしまおう」というものです。
住宅リフォームなどでは良く行われるかもしれません。
とにかく、安くて速いというのがメリットです。
上から張るので、どうしても既存の床材の状態を引き継いでしまう、という課題があります。
重ね張りの手順
1,現状確認

まず、現時点の床の状態を確認します。
- 床の高さが変わることで、扉の開閉や移動する備品などに支障はないか?
- 既存の床材が剥がれていないか?(上から張って下ごと剥がれないか)
など「このまま施工して不具合が起きないか?」を意識し、特に注意して観察してください。
2,下地調整・不陸調整


フローリングブロックの上を、ポリマーセメントモルタルなどの薄塗り左官材で平滑に仕上げます。
左官材は必ずカタログに記載された手順と配合を守ってください。
「仕上がってから下地が剥がれた」では取り返しがつきません。
3,研磨紙ずり(ペーパーあて)


全面に左官材を塗り広げたら、硬化後に全体をペーパーあて(紙やすり掛け)をします。
ペーパーは#40くらいがよく使われます。
これを行わないと、床シートに『下地の拾い』(デコボコが見た目に表れてしまうこと)が発生するので、入念にかけてください。
この段階で、左官後の床を歩いたり、触ったりして「なんかへこんでるor盛り上がっている気がする」と感じたら、必ず直してください。
「張ればわからないか」とは絶対なりません。その個所は、床シートを張った時、必ず目立ちます。
張ってから剥がして直すことは不可能だと考えてください。
掛け終わったら、発生した粉が完全にきれいになるまで掃除をします。
4,床シート張り




下地が完成したら、床シートを張ります。
接着剤を塗布する前に、改めて掃除機を掛けることは、綺麗な仕上がりのために欠かせません。
施工後に砂粒の巻き込みを発見しても直せません。
(ゴミの巻き込みが目立つのは長尺シートの避けられない宿命ではありますが)
品質が求められるような厳しい工事の時は、接着剤の塗布量とオープンタイムを確保した証明の写真を忘れないようにしましょう。
見積項目の例
左官工事 シーラー塗布 | ローラー塗り | 〇m2 |
左官工事 ポリマーセメントモルタル | 厚0~5mm以下 | 〇m2 |
床シート工事 床シート材 | 複層ビニル床シート t=2.0mm | 〇m |
床シート工事 副資材 | 接着剤 | 〇缶 |
床シート工事 施工費 | 〇m2 | |
内装工事(あるなら) | 見切り材取付、周囲シーリングなど | 一式 |
産業廃棄物処理費 | 積込、運搬含む | 〇m3 |
諸経費 | 法定福利費など | 一式 |
現場管理費 | 一式 |